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「おしりの健康から毎日の幸せを」

ダウンロードはLinkIcon170425羽田先生

講師紹介

羽田 丈紀 先生
医療法人社団おなか会 おなかクリニック・おしりセンター部長

演題

「おしりの健康から毎日の幸せを」

日時

平成29年4月25日(18:30~20:00)

会場

日本生命八王子ビル 研修室



痔の有病率

  • 虫歯 99.1% :厚生労働省(4554歳)
  • 痔疾患 約55% :肛門疾患診療外ライン 日本大腸肛門病学会
  • 水虫 約25% :日本臨床皮膚科医会

 痔疾患の有病率は、自覚症状が無く治療の必要のない痔も含めると約55%と、非常に多い。このうち治療を必要とする症状がある痔が半分ほどあります。おしりの病気は恥ずかしいからと、自覚症状のある痔疾患を病院で治療せずに放置して、悪化させる患者さんが非常に多いので、是非恥ずかしがらずに、専門の病院で受診してください。

おしりの3大症状

痔などによる自覚症状は、肛門内外にできたいぼ痔の肛門からの脱出、痛み、そして出血です。

おしりの3大疾患

おしりの3大疾患は

  • 痔核(いぼ痔)
  • 裂肛(切れ痔)
  • 痔瘻(あな痔)

です。


1857人/2012年 おなかクリニック・おしりセンター

 その割合は、上のグラフの様な割合ですが、この八王子では理由は不明ですが、切れ痔の患者さんが多いです。

◎痔核(いぼ痔)

痔核(いぼ痔)には、場所と色で大体種類の判断が付きます。

  • 内痔核:色はピンク 軟らかい 肛門の内部の組織が肥大してあまりいぼになったもの。
    ジオン(ALTA)療法:注射で治す
    内痔核の病期分類(Goligher分類)
    • 1度:脱出はない
    • 2度:脱出しても自然に戻る
    • 3度:押すと戻る
    • 4度:戻らない
      2度までは規則的な排便や薬で治療、3度以上は手術が必要
  • 出性内痔核:色はピンク 軟らかい 内痔核が肛門の外に飛び出たもの
    手術で治す
  • 肛門管外外痔核(皮垂):色は茶色 軟らかい 肛門付近の粘膜が肥大していぼ状になったもの
    出血が無くて痛くなければ治療はしない、症状がある様なら手術で治す
  • 血栓性外痔核:色は紫 固い 急に肛門周囲の静脈に血栓が出来て固い血豆になったもの
    軟膏や内服治療で多くの場合自然に血の固まりが吸収されて、治りますが、治らない場合は手術で治します。
  • 陥頓痔核:色は真っ赤 内痔核が肛門の外に脱出して、肛門周囲の筋肉で締め付けられて、中に血の固まりができて、肛門の中に戻らなくなってしまった状態で痛いです
    軟膏や内服治療で多くの場合自然に血の固まりが吸収されて、治りますが、治らない場合は手術で治します。

◎裂肛(切れ痔)

裂肛(切れ痔)は主に肛門が縦に裂けた状態ですが、中学生ぐらいから裂肛の症状がある人が多く、病院に来るまでに5年から10年、更に20年以上我慢して、悪化させてしまう患者さんが多いです。人の体は発生の段階で左右の組織が真ん中で合わさってできるので、真ん中に継ぎ目があり、弱いので、裂肛は主に肛門の前側か後ろ側が裂ける場合が多いです。

  • 裂肛:裂肛の初期の段階で、裂け目があり出血します
  • 慢性裂肛:裂肛を放置してしまった結果、裂けた部分が潰瘍になったもの
  • 痔瘻を伴った慢性裂肛:慢性裂肛の傷が深くなり、肛門の外側に貫通した穴が開いてしまっています

◎痔瘻(あな痔)

痔瘻(あな痔)は細菌感染によっておこります。

  • 肛門周囲膿傷:肛門の中には、肛門を湿潤に保つための粘液を分泌する“肛門腺”があります。この肛門腺に細菌が感染して膿がたまり腫れた状態で、非常に痛いです。手術をして切開し膿を出すと楽になります。
  • 痔瘻:肛門周囲膿傷の切開手術をしても約6割の患者さんは、細菌感染が完治せず肛門の外に貫通した穴が残り、膿が出続けます。
    これを長年放置すると、長期間の炎症による炎症性発癌を起こし、癌化する可能性が有り、治療が必要です。

◎ジオン®(ZIONE®)ALTA 療法
従来切除手術で治療していた内痔核の治療に非常に有効な注射による治療です。漬物に使うミョウバンを含んだ薬を直接内痔核に注射するジオン®(ZIONE®)ALTA療法 です。ミョウバンを含んだ温泉が痔に効くというのは、迷信ではありませんでした。

どうして痔になるのか?

  • 排便時にいきみ過ぎる、肛門に強い圧力かけてしまう
  • 2本脚歩行になり、肛門が腸の一番下にあるので圧力がかかる
  • 下痢・便秘
  • 長時間のトイレ、肛門に強い圧力を長い時間かけてしまう
  • 喫煙・過度の飲酒
  • ストレス
  • 辛すぎる食べ物


痔瘻に関しては、下痢による排便回数と喫煙の因果関係が強い

疾患別 1日の排便回数

疾患別 喫煙の有無

痔にならないために

◎いきみ過ぎない


いきまなくても楽に排便できるようにするためには、“直腸肛門角”を緩くするとよい、
そのための、排便時の姿勢は、

  • 洋式トイレを使う(和式トイレは腹圧が高くなり過ぎ)
  • 前傾姿勢(角度が緩くなる)
  • 肘を太ももに置く(自然な腹圧)
  • 膝は股関節よりも高く(つま先を立てる・足の下に低い台を置く)
  • 視線は下向きにする
  • トイレは5分以内

「ロダンの考える人のポーズ」

うんちのタイミング
便は、直腸の上にあるS字結腸にたまっていて、起床後の食事や水分摂取の刺激で直腸に降りてくると便意が出る。このタイミングで素直にトイレに行くのがベスト。
一度便が出てしまうと、次にS字結腸から直腸に便が下りてくるまでは排便できない。だから、あまり長い時間トイレにこもるのではなく、次に正常な便意を感じるまで、トイレから出るのが正解。


快食快便:便が固くもなく・柔らかすぎず、排便しやすい便になるように、食事や水分補給も大切

  • 水分
  • 食物繊維
    • 不溶性:切り干し大根・ごぼう・小麦ふすま・根菜類・穀物・豆類・ココア
    • 水溶性:コンブ・わかめなど海藻類・こんにゃく・イモ類・大豆・大根・かんきつ類・リンゴ
  • ビフィズス菌・乳酸菌:チーズ・ヨーグルト・納豆などの発酵食品
  • オリゴ糖:ビフィズス菌を元気にする

最後に、おしりは毎日快適に使いたいものです、先ずは痔にならないような生活習慣に務め、異常を感じたら恥ずかしがらずに肛門化を受診してください。


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