jp-kenko.org

社員や家族を胃がんで亡くさないために~二十歳のピロリ菌チェック~

ダウンロードはLinkIconこちらから

講師紹介

村井 隆三氏
NPO法人二十歳のピロリ菌チェックを推進する会 代表理事
医療法人社団おなか会おなかクリニック院長

日時

平成28年2月17日(18:30~20:00)

会場

日本生命八王子ビル 研修室

胃がんは感染症だった

子供のころにヘリコバクターピロリ菌に感染することによって長い年月をかけてピロリ菌が胃を荒らし、胃がんを発症してしまう。感染症ということは、ワクチン等で予防することができる。ピロリ菌が胃がんの原因であり、予防できるということがまだ周知されていない。

がんを知る

日本人の死因は戦前は感染症や肺炎、結核が多かった。戦後は平均寿命が延びたことによってがんで亡くなる人が右肩上がりに増えている。がんに次いで心疾患、肺炎となっている。肺炎もワクチンを接種することで予防することができる。がんの死亡者数で多いのは、肺がん、胃がん、大腸がんの順である。すい臓がんが増えてきている。男女別でみると、男性が肺がん、胃がん、大腸がん、女性が大腸がん、肺がん、胃がんの順になる。2015年がん死亡数予測では全体37万900人のうち男性は21万9200人、女性は15万1700人である。

病気の対策

病気の対策はマーケティングであり、統計を知ることで対策を立てて予防することができる。2015年のがん死亡数予測では肺がんが一番多い。治療が難しいからである。大腸がんを日米で比較すると、日本は増加しているがアメリカは減ってきている。原因として、検診をしっかり受けて禁煙をしているからである。大腸がん検診を受けている人と受けてない人を比較すると、死亡率では72%減少する。進行大腸がんの罹患率は59%減少する。検診を受けることで早期に発見し、治療することで治すことができる。

八王子市の受診率

八王子市では受診者数が増えており、胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの死亡率が東京都の平均よりもすべて下回っている。しかし受診率はどの検診においても20%以下である。アメリカでは10年間で45%から65%へ増えている。

がんの検診

がんが心配な人は頻度の高いがんを知り、対策をたてることが大事である。肺がん検診は肺ドックCT検査を受ける。胸部単純レントゲン検査では、早期の肺がんを発見することは困難。肺ドックは15,000円で受けることができる。大腸がん検診は便潜血検査(2日法)を受ける。2日うけて1日でも陽性であれば精密検査を受ける。胃がん検診は市のバリウム検査だが、受診率は4%しかいない。早期胃がんを見つけるにはバリウム検査よりも胃内視鏡検査が有効である。2015年4月に厚生労働省が胃がん検診として胃内視鏡検査が認められた。

ピロリ菌

胃がんは感染症なので予防することができる。胃がんの99%はピロリ菌が原因である。ピロリ菌に感染すると胃炎が起き、粘膜が萎縮し胃がんが発症する。ピロリ菌の感染は胃酸の分泌が少ない5歳までに成立してしまう。ピロリ菌が原因で胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がん等が発症する。ピロリ菌の検査方法には、内視鏡を使う方法と使わない方法がある。今回紹介したのは検尿による検査。

除菌

年代別ピロリ菌感染率を見ると、年齢が低い方の感染率が低い。ピロリ菌に感染したときは、一次除菌で約78%が除菌できる。一次で除菌できなかった場合二次除菌で約92%が除菌できる。除菌すれば本人の将来の胃がんのリスクをおよそ1/3に減少させることができる。また、次世代の子供たちへの感染をブロックすることができる。一番重要なことは、症状があったり健診で異常が見つかった時には勇気をもって医療機関を受診していただき精密検査を受けることである。
検査で異常がなければそれでよし。がんが見つかれば早期発見できる。がんが存在することはある程度の大きさになれば証明することができるが、がんがないことを証明するのは極めて困難である。がんは早期発見、早期治療が重要である。早期に発見できれば臓器の温存・機能の温存も可能になる。


参加者の声
胃がんは感染症であることを初めて知り、早速検査を行いたいと思いました。
ピロリ菌チェックの重要性が理解できた。胃がんが予防できる可能性があることに驚いた。

LinkIcon LinkIcon LinkIcon